ノーベル文学賞にクラスナホルカイ・ラースロー氏 ハンガリーの作家

スウェーデン・アカデミーは9日、2025年のノーベル文学賞をハンガリーの作家、クラスナホルカイ・ラースロー氏(71)に授与すると発表した。授賞理由は「終末的な恐怖の真っ只中にあって、芸術の力を再確認させる説得力と先見性のある業績」。賞金は1100万スウェーデンクローナ(約1億7000万円)。贈呈式は12月10日、ストックホルムで行われる。

【写真まとめ】クラスナホルカイ氏の代表作は

 ハンガリー南東部のジュラ生まれ。大学で法律や文学などを学んだ。編集者を経て1985年、小説「サタンタンゴ」でデビュー。救世主とも悪魔ともつかない正体不明の一人の男によって操られる小さな村を描き、一躍注目を浴びた。同作は後にタル・ベーラ監督によって映画化された。抑圧や貧困による絶望的状況から逃れられない人々をモチーフとし、「抵抗の憂鬱」(89年)も同監督の映画「ヴェルクマイスター・ハーモニー」の原作となっている。

 数ページにもわたる長い文章と語句の反復による独特の文体が特徴。詳細な描写とも相まって、ドイツをはじめ国際的な評価が高い。15年にはブッカー国際賞を受賞している。

 日本とも縁が深く、97年に初来日。00年には半年間にわたり京都で暮らし、能や寺社など日本の伝統文化について見聞を広めた。「北は山、南は湖、西は道、東は川」(03年)は京都を舞台とし、日本滞在の経験が生かされており、06年に邦訳が刊行された。【広瀬登】

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