参考
こんにちは。今回は、2025年9月の為替相場について、ドル円とポンド円、そしてユーロやスイスフランを含めた主要通貨の動きに焦点を当てながら、アノマリー分析と最新の経済指標をもとに、今後の投資戦略を深掘りしていきます。年末に向けて相場が動き出すこのタイミングは、まさに仕込みの好機。しっかりと準備しておくことで、チャンスをものにできる可能性が高まります。ぜひ最後までご覧ください。
まず、為替市場には「アノマリー」と呼ばれる、統計的に繰り返される傾向があります。これは明確な理由があるわけではないものの、過去の値動きから一定のパターンが見られる現象です。たとえば、5日や10日などの「ゴトー日」には、企業の決済が集中することでドル買いが入りやすく、円安になりやすいという傾向があります。こうしたアノマリーを活用することで、短期的なトレード戦略に役立てることができます。
2025年9月のドル円相場において、特に注目すべきなのが「2日と第2週の円安アノマリー」です。過去20年間のデータによると、2日は米ドル/円でよう線の出現確率が76%、ニュージーランドドル/円やカナダドル/円では81%と非常に高い水準となっています。さらに、10日から12日にかけても円安傾向が強く、10日は米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円で70%以上、11日は豪ドル/円で86%、12日はユーロ/円やニュージーランドドル/円で80%前後のよう線出現率となっています。
このように、9月前半は円安に動きやすいタイミングが複数存在しており、特に2日、4日、10日あたりは警戒が必要です。これらのタイミングで買いポジションを仕込むことで、為替差益とスワップポイントの両方を狙える可能性があります。
一方、9月後半にはユーロとスイスフランに注目すべきアノマリーがあります。17日と29日はユーロ高の傾向が強く、30日にはユーロ安のアノマリーが確認されています。スイスフランについても、16日、19日、30日はスイスフラン安の傾向があり、特に30日はスイスフラン/円でよう線の出現確率がわずか19%と、円高が強く出やすい日となっています。
このような日別のアノマリーを活用することで、短期トレードの精度を高めることができます。たとえば、29日にユーロやスイスフランが上昇したタイミングで売りポジションを取り、30日の下落を狙うといった戦略も有効です。
さらに、9月は年末に向けたトレンドの起点となることが多く、10月以降の円安傾向を見据えて、今のうちに買いポジションを仕込む好機とも言えます。10月には米ドル/円、ポンド/円、豪ドル/円でよう線の出現回数が14回、ユーロ/円でも13回と、円安のアノマリーが強く出ています。スワップポイントも受け取れる通貨ペアが多いため、インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙えるチャンスです。
また、ニュージーランドドルにも注目です。10月と12月にはニュージーランドドル/カナダドルでよう線の出現回数が14回、15回と非常に高く、年末に向けて買われやすい傾向があります。ニュージーランドは南半球に位置し、年後半が農産物の収穫期にあたるため、実需の動きが通貨高につながるケースが多いのです。
為替相場だけでなく、株式市場にも9月のアノマリーがあります。特に注目すべきは「第2週の株高」です。過去20年間の週足データによると、9月8日から12日の週は日経平均でよう線の出現確率が87%と非常に高く、米国の主要株価指数も同様に強い傾向が確認されています。
この背景には、“セル・イン・メイ”という相場格言があります。5月に株を売って、9月の第2土曜日に行われる英国の競馬レース「セント・レジャー・デー」まで市場に戻ってくるな、という意味の格言です。今年のセント・レジャー・デーは9月13日ですので、第2週は投資家が市場に戻ってくるタイミングとして、株高になりやすいと考えられます。
ここからは、ドル円とポンド円のファンダメンタルズに踏み込んでいきます。
ドル円は現在、FRBの利下げ観測と日銀の利上げ期待がせめぎ合う構造の中で、146円台から148円台のレンジで推移しています。8月22日のジャクソンホール会議では、パウエル議長が雇用の下振れリスクを認め、利下げの可能性に言及しましたが、インフレへの警戒も同時に示し、慎重な姿勢を維持しています。このため、ドル円は一時円高に振れたものの、すぐに147円台に戻るなど、方向感のない展開が続いています。
注目すべきは、9月5日の米雇用統計と11日のCPIです。これらが弱い内容であれば、FOMCでの利下げが現実味を帯び、ドル安・円高が進む可能性があります。市場では0.25%の利下げが80%以上織り込まれていますが、雇用統計が予想を大きく下回れば、0.5%の利下げが議論される可能性もあります。
一方、日本では7月のCPIが前年比+3.1%、コアコア指数が+3.4%と、物価上昇の根強さが確認されました。GDPも+1.0%と予想を上回り、長期金利は1.617%と2008年以来の高水準。これにより、日米の金利差は縮小し、円高圧力が強まっています。
ポンド円については、イギリスのインフレ再燃がポイントです。7月のCPIが予想を上回り、イングランド銀行の追加利上げ観測が強まっています。ポンド円は198円台から201円台のレンジで推移していますが、住宅市場の減速や消費者信頼感の低下など、景気への懸念もあり、上昇しても200円台前半で頭打ちになる可能性があります。
9月のポンド円相場では、イギリスの経済指標と米国の利下げ動向が鍵を握ります。米国が利下げに踏み切れば、ドル安・円高が進み、ポンド円も円高方向に引っ張られる可能性があります。一方で、イギリスが利上げを示唆すれば、ポンド高・円安の流れが強まり、ポンド円は上昇する可能性があります。
つまり、ポンド円はドル円以上に複雑な力学が働いており、米英両国の金融政策の方向性を見極めることが重要です。特に、9月中旬のFOMCとイングランド銀行の政策決定が重なるタイミングでは、相場が大きく動く可能性があるため、ポジション管理には十分な注意が必要です。
ここまでの話をまとめると、2025年9月の為替相場は、アノマリーとファンダメンタルズが交錯する、非常に戦略的な局面にあります。短期的な値動きに影響を与えるアノマリーを把握しつつ、各国の金融政策や経済指標といったファンダメンタルズを丁寧に読み解くことで、より精度の高いトレード判断が可能になります。
特にドル円では、FRBの利下げ幅が0.25%にとどまるのか、それとも0.5%に拡大するのかが、9月の相場を大きく左右する分岐点となります。さらに、FRB理事の人事をめぐる政治的な動きが市場の信認を揺るがす可能性もあり、ドルの基軸通貨としての地位に対するリスクプレミアムが意識される場面も出てくるかもしれません。
一方で、日銀の利上げ期待は着実に高まっており、日本の長期金利の上昇が円高圧力を支えています。このように、ドル円は「利下げ観測によるドル安」と「金利差縮小による円高」が同時に進行する構造の中で、非常に繊細なバランスの上に成り立っています。
ポンド円に関しては、イングランド銀行のスタンスがよりタカ派に傾けば、ポンド高が加速する可能性がありますが、米国の利下げが円高を誘発すれば、その上昇は限定的になるかもしれません。つまり、ポンド円は米英両国の金融政策の相互作用によって、複雑な値動きを見せる可能性が高いということです。
ユーロやスイスフランについても、9月後半のアノマリーが非常に興味深いです。ユーロは17日と29日に高くなりやすく、30日には反転して安くなる傾向があります。スイスフランも同様に、29日に高く、30日に安くなるという真逆の動きが確認されており、このタイミングを狙った短期トレードは非常に有効です。
さらに、株式市場の第2週の強さも見逃せません。日経平均のよう線出現率が87%という高水準であることから、為替市場にもリスクオンの流れが波及し、円安が進む可能性があります。これは、為替と株式の連動性を意識した戦略設計にもつながります。
最後に、9月は「仕込みの月」として、10月以降の円安トレンドに備える絶好のタイミングです。アノマリーとファンダメンタルズの両面から相場を読み解き、短期・中期・長期の視点をバランスよく持つことで、より安定した成果につながるはずです。
このチャンネルでは、こうした構造的な視点から為替や金融市場を深掘りし、視聴者の思考力と行動力を刺激するコンテンツを発信しています。登録していただければ、今後の相場の変化にもすばやく対応できるようになりますので、ぜひチャンネル登録をお願いします。
そして、今回の動画が参考になったという方は、高評価ボタンもぜひ押していただけると嬉しいです。それが次の動画制作の励みになります。



コメントを残す