打ち上げ失敗、国民は“かつら”作りで日給200円…それでも北朝鮮が“軍事偵察衛星”望む理由とは【報道特集】|TBS NEWS DIG

5月31日、“軍事偵察衛星”の打ち上げに失敗した北朝鮮。人々は貧困にあえぎ、餓死者が急増しているといいます。
国境を接する中国の町を取材すると、北朝鮮から“かつら”が盛んに輸入されていました。

■打ち上げ失敗も専門家は驚き「初めて見る」

北朝鮮による「軍事偵察衛星」の打ち上げが行われた5月31日。Jアラートが発出された直後の沖縄県・与那国町。

役場の職員らは情報収集に追われ…問い合わせの電話は鳴り止まない。それから30分後。

「避難の呼びかけを解除します」

打ち上げから2時間半後、“軍事偵察衛星”を載せたロケットについて北朝鮮は「発射後にエンジンに異常が発生し、推進力を失って黄海に墜落した」と失敗を認めた。

翌日、国営メディアが公表した発射の瞬間とされる写真を見ると…膨らんだ先端の部分に「衛星」が収納されているとみられる。

専門家は、驚きを見せる。

軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏
「北朝鮮がこれまでミサイル開発でICBM(大陸間弾道ミサイル)を作っていたものとは形状が全く違ったということです。今回発射したものは液体燃料型のロケットです。三段式になっているんですけど、三段式で液体燃料というもの自体も初めて見ます」

液体燃料型で2段式のものはこれまでにもあったが、3段式は初めて。新たな技術で衛星の打ち上げに臨んだというのだ。

ロケットの1段目は、これまでのミサイル技術を転用したものだという。

軍事ジャーナリスト 黒井氏
「噴出しているノズルを見ると、(大陸間弾道ミサイルの)『火星15』のものに似ている。恐らくその技術を利用しているんだと思うんですね」

北朝鮮は「1段目を分離したあと、2段目のエンジンに異常が発生した」と発表した。

軍事ジャーナリスト 黒井氏
「要するにロケットエンジンの新型のものを試してみたところ、うまくいかなかった」

北朝鮮が開発した新型エンジンとは?
韓国軍は既に黄海でロケットの残骸を一部回収しているが、エンジンはまだ見つかっていない。

■20時間労働で日給200円…北朝鮮の人々の苦境

打ち上げに失敗した北朝鮮の人々の暮らしの一端が、北朝鮮と国境を接する中国・丹東で見えた。

1日数本、鉄道の往来はあるものの、新型コロナの感染拡大が始まって以降、北朝鮮は人や物資の行き来を今も厳しく制限している。しかし、丹東では最近変化が起きている。

記者
「ハングルと漢字で貿易会社と書かれています。比較的新しい看板です」

国境封鎖が緩和されることへの期待感からか、新しい貿易会社が増えつつあった。そんな中、北朝鮮から中国への輸出が増えている“もの”がある。

それは…かつら。
経済制裁のため輸出品目を制限されている北朝鮮だが、かつらはその対象外。この美容室では日本円で9万円前後で売られているものもあるという。

ーーどれが北朝鮮のものですか?

北朝鮮のかつらを販売する美容室店員
「手編みで人工頭皮のものですね。より本物に似せていますし、通気性もいいです」

2023年4月には北朝鮮から中国への輸出額約48憶円のうち、実に3分の2となる32憶円をかつら類が占めるほどになったという。
かつらの輸入業者に話を聞くと…

北朝鮮のかつらを輸入する業者
「12月は400万個入ってきました」
「北朝鮮は世界のかつら工場です。中国を通じて輸出されているのです」

しかし、かつらを作る人たちは苦境にあるという。

北朝鮮のかつらを輸入する業者
「彼らの日給ですが、かつらを作る人は朝から晩まで働いて人民元で10元(約200円)が1日の給料ですよ」
「北朝鮮は今農業の繁忙期なので、みんな昼は畑仕事をしています。かつら工場の工場長でさえ、昼は畑に行かなければなりません。夜は戻ってきたら、ご飯を食べてまたかつらを作って。1日20時間は働いています」

■ロシア極東に流れ着く…“船の墓場”が示す国民の窮状

そして、丹東には他にも北朝鮮関連のものを売る場所があった。マンションの一室に絵画が並ぶ。

絵画を販売する女性
「どの絵が好きですか?全部、北朝鮮の人が描いた絵です」

ーー北朝鮮から絵を描くために中国へ来た人たちがいる?
「そうですね。その絵です」

北朝鮮から丹東に来て絵を描く人たちがいて、その作品を販売しているという。中にはプロの画家の手によるとされる、1枚数百万円以上するものも売られていた。

韓国・釜山にある東亜大学。北朝鮮の人が描いた絵を集めて分析している、カン・ドンワン教授。

東亜大学 カン・ドンワン教授
「北朝鮮は様々な方法で外貨を獲得していますが、代表的なのが絵の販売です」

カン教授は韓国の海岸に漂着したゴミを集め、北朝鮮の経済情勢を探っている。一番最近拾ったというカバンは子ども向けのものとみられるが、銃やミサイルが描かれるなど戦闘的な雰囲気になっている。

そしてカン教授は2023年4月、新たな場所を調査していた。

カン教授
「ロシアの海岸で見つけたパイナップルジュースです。牛乳です。北朝鮮のゴミです。ロシアの海岸です」

北朝鮮との国境に近いロシ…()

▼TBS NEWS DIG 公式サイト 

▼チャンネル登録をお願いします!

▼情報提供はこちらから「TBSインサイダーズ」

▼映像提供はこちらから「TBSスクープ投稿」

10 件のコメント

  • できるなら北朝鮮と交流を増やして平和で同盟になれたら本当にいいんだけどね

  • こんなのでマゴマゴしてるようでしたらダメですね
    くだらない天下り先なんか維持するより しっかりとした情報管理できる情報部を作らないとダメですね

  • 新型ロケットがスペースXのファルコン9にそっくりなんですがそれは

  • 北朝鮮は敵だし、そこの国民の幸福度も最低と思うが、台湾有事で日本がアメリカの手先になって多数の犠牲を払った場合、犠牲になった人の身内は日本より北朝鮮の方がマシと思うだろう。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です