クレジットカードの不正利用
「9万8000円これ何だろうっていうことからまず気づきました」
「身に覚えのない5000何とか円引かれてて あれ何だろ?って」
「1000円ぐらいのものが3回くらい引き落とされてて」
「そのカードは止めて新しく発行し直してもらったんですけど」
知らぬ間に使われたカード情報、最近では数百円など少額の購入も多くすぐに気づきにくいうえ、手口も巧妙化しています。
カードの持ち主だけでなく、商品を販売する事業者側もクレジットカードの不正利用に頭を悩ませています。
天体望遠鏡などを扱うこちらの店は、去年秋、インターネットでクレジットカードの不正利用による注文を受けました。
天文ハウスTOMITA 冨田宜邦社長
「全くその怪しいところに最初は気づいてなかったので、実はもう発送してしまっておりました。」
発送したのは天体望遠鏡と双眼鏡。しかし、発送後にクレジットカード会社から連絡があり、不正注文であることがわかりました。
何者かがクレジットカードの情報を不正に入手して、インターネットで商品を購入すると、商品は注文した人物にわたりますが、
代金はカードの持ち主が支払うことになります。
しかしその後、不正利用が明らかになると商品を販売した店側がカードの持ち主に返金しなくてはならないケースがあるのです。
冨田さんも2件の不正注文の代金、およそ13万円を返金するようカード会社から連絡を受けました。異議を申し立て、1件が現在審議中です。
天文ハウスTOMITA 冨田宜邦社長
「うちとしては仕入れた商品がもう戻ってこないですし、お金もお返しして2重の被害を被るわけですね」
先月末にも、新たに不正注文とみられる購入がありました。
同じ文字列を含むメールアドレスを使って、違う人物が立て続けに注文。不審に思い、メールを送ったといいます。
天文ハウスTOMITA 冨田宜邦社長
「こんな感じでこういう形でいいので、データの写真を送ってくださいという風に」
身分証の確認を求めましたが、音沙汰がなく発送を取りやめています。
不正注文に一体どんな人物が関わっているのか、受取先の1つに冨田さんが訪ねると
敷地内の店舗から高齢の男性が出てきましたが、特に手がかりは得られませんでした。
その後、注文者の連絡先に電話をかけると
電話に出たのは若い声の男性でしたが、注文者の名前ではないと答えました。
冨田さんの店では去年以降、クレジットカードの不正利用によっておよそ21万円の被害が起きています。
不正注文による被害を防ぐために注文者情報を1つ1つ確認してから発送することにしていて、以前より手間が増えたといいます。
不正注文の受け取り先を自ら追跡し、驚きの実態を目の当たりにした男性がいます。
大阪市で、防災用品などの通販会社を経営する松尾充泰(まつお・みつひろ)さん。
株式会社リプロス 松尾充泰社長
「こちらが、うちが不正カードで盗られた商品ですね。それを取り戻した商品がこれです」
このポータブル電源はクレジットカードの不正利用によって購入され転売されていたものを松尾さんが探し出し、買い戻した商品です。
注文があったのはおととし10月。めったに注文が入らない商品が数日間のうちに続けて3件、購入されました。1件目を発送してしまった後に注文者の不自然さに気づいたといいます。
電話をかけてみるとその番号は使用されていませんでした。
そこで松尾さんは、都内の送り先住所まで出向いて、真相を確かめようとしたのです。
株式会社リプロス 松尾充泰社長
「注文者の名前を見ていただくと分かるんですけど、この場合は福井××さん。」「福井という名前で商品の注文があったので届けたと。あなたは福井さんですか?と尋ねて、いや違うという風におっしゃって。じゃああなたはどうしてこの商品を受け取ったのと」
住んでいたのは、注文者とは違う名前の中国人の女性 SNSで知り合った人物に頼まれ荷物を転送するアルバイトをしていると話したそうです。
<アルバイトの雇用主>
「1つの荷物で30~80人民元(約480~1520円) 1日8個くらいから始めて慣れてくれば10数個にしましょう」
<“受け取り役”の女性>
「具体的にはどうするの?」
<アルバイトの雇用主>
「商品を受け取った後、写真を撮ってお客さんの住所に送ってください」
<“受け取り役”の女性>
「こんにちは 荷物が届きました」
<アルバイトの雇用主>
「貼ってある伝票の写真をもらえますか」
「ここに送ってください」
このようなやりとりの中に、松尾さんが発送したポータブル電源を転送した形跡もあったのです。
松尾さんは、あるウェブサイトでだまし取られたポータブル電源と同じ型番の商品を見つけ、購入しました。
なんと、このポータブル電源と松尾さんが発送した商品のシリアルナンバーが一致。
株式会社リプロス 松尾充泰社長
「私たちから出て行った商品を売ってたってことは間違いないです。その証拠ですね」
手に入れた資料と一緒に警察に被害届を提出しましたが1年以上経った今でも、特に連絡はないといいます。
松尾さんはクレジットカード会社や運送会社などに働きかけるような、制度づくりを望んでいます。
ON 株式会社リプロス 松尾充泰社長
「これはもう何らかの方法、法律や手段とか政策に基づいて止めるしかないんじゃないかなと思ったりしますね」
クレジットカード情報を抜き取る手口として最近増えているのが「クレジットマスター」
何かを購入するときに必要なのはカード番号、有効期限、セキュリティコードの3つですが
AIに何通りものこの数列のパターンを作らせ通販サイトを攻撃。注文が通った組み合わせを「実在する使えるカード」とみなしその情報で高額な商品を購入して商品を騙し取るのです。
もはやカード番号を持っているだけで被害に遭う可能性があるのです。
こちらの企業ではクレジットカードを使った不正注文を検知するサービスなどを開発しています。
企業からの相談件数は増え続けていて去年取ったアンケートによると3社に1社は不正利用の被害に遭っているといいます。
検知システムでは発送先が過去に不正に使われた住所ではないか、同じ端末で何回も注文していないか、など200種ほどのデータを元にAIが不正注文の可能性をはじきだします。
システムが不正を検知すると販売店に通知が届く仕組みです。
かっこ株式会社カスタマーサクセス部中生緑部長
「2022年の合計で731億円。合計それぐらいの不正を防いでいるという実績があります」
販売店は、カードの不正利用によって商品をだまし取られないように対策が必要ですが高度なセキュリティシステムを導入するとコストがかかることもあります。
厳しい選択を迫られる事業者も多いのが現状です。
天文ハウスTOMITA 冨田宜邦社長
「保険に入るであったりとか、ランニングコストも払いながら営業をしていかないといけないというところを勉強しましたね」
「売る側も買う側も便利なシステムになっていけば消費も増えるだろうにと思うんですけども」
[テレ朝news]
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